畑からきのこ(キンカクビョウキン)

皆様
先週、会員の方が畑に小さなきのこが出ていたと持って来られました。
見ると根本に黒い塊が付いていて、この時期だからツバキキンカクチャワンタケじゃないかと思い検鏡してみました。
すると菌核内に植物組織は見当たらず菌糸のみからなり、いわゆる偽菌核を作るニセキンカクキン属Ciborinia(ツバキキンカクチャワンタケなど)とは異なっていました。
子嚢はアミロイドの頂孔を持ち、胞子は楕円形で平滑でした。
タマキンカクキン属Dumontinia(アネモネタマチャワンタケなど)が似ていますが菌核の外観が異なります(粗面で歪な形状)。
何よりイチリンソウ属の存在しない畑で採取されています。
以上の点から、作物の病害菌である「キンカクビョウキン(菌核病菌)」Sclerotinia sclerotiorum (Lib.) de Bary であろうと同定しました。
子実体が未熟だったので胞子サイズなど若干小さく見えますが、一部大きな胞子も見えています。
なお、一般的な図鑑では北陸のきのこ図鑑(池田)に載っています。

(T.I)